歯車精度と加工性で選ぶ!歯車材料における真鍮の優位性

精密歯車の量産では、「加工性」「寸法安定性」「コスト」の3要素を高い水準で満たす材料の選定が重要です。歯車は、わずかな寸法誤差や歯形のズレが、動作精度や静音性に直結するため、素材の選び方が歯車の性能に大きく影響します。さらに、加工性の低い材料は生産効率を下げ、結果としてコスト増加の要因にもなりかねません。そのため、今回は良く使用される黄銅(真鍮)についてご紹介します。

1.黄銅(真鍮)とは?

黄銅は、銅と亜鉛を主成分とする合金で、一般的には「真鍮」の名で広く知られています。強度・耐食性・導電性のバランスに優れており、装飾品から機械部品まで、さまざまな分野で使用されている金属材料です。
その中でも、被削性を高めるために鉛Pb を添加した快削黄銅は、あらゆる金属の中でも屈指の切削性を持つ素材として知られています。快削黄銅は高速での精密切削加工が可能で、工具の摩耗が少なく工具寿命も長いため、量産現場において非常に高い生産効率を実現できるのです。

2.ギヤメタルで最も選ばれている黄銅材は?

定番の黄銅材は「C3602」です。C3602は、鉛を適量添加することで、切削加工に特化した性能を持つ快削黄銅です。材料自体が柔らかく、バリが出にくく、工具摩耗も少ないため、高精度な機械加工が求められる歯車生産に非常に適しています。「C3602B」と表記されているものは、C3602の棒材ということになります。

3.快削黄銅「C3602」の特徴について

1)生産効率を押し上げる加工性の高さ!

C3602の最大の特長は優れた加工性です。切削抵抗が小さく、加工中の切粉は細かく砕けるため、自動旋盤やホブ盤との相性が良いです。これにより、高速かつ安定した切削加工が可能となり、24時間稼働の量産ラインにも適応しやすいという利点があります。このような特性は、大量生産における加工効率の向上やコスト削減に直結する大きな強みとなります。

2)寸法のバラツキが少ない!

加工性に加えて、C3602は寸法の安定性にも優れた材料です。切削中の反りや変形が起こりにくく、仕上がり寸法のばらつきも抑えられるため、歯形や歯厚の高精度な管理が容易に行えます。これにより、連続加工や量産時でも安定した品質を維持しやすくなります。

3)流通量が多く、価格・納期ともに安定!

C3602は市場での流通量も多く、材料価格が比較的安定しています。さらに、切削時間の短縮や工具コストの低減にもつながるため、トータルで見ても非常にコストパフォーマンスに優れた材料です。特に量産規模になると、1個あたりの加工コストの差が全体の部品コストに直結するため、C3602のような加工効率の高い材料の選定が、製品競争力を左右するポイントとなります。

4.真鍮(黄銅)を使用した小形歯車の量産はお任せ下さい!

ギヤメタルでは真鍮をはじめ、リン青銅・洋白/アルミニウム/炭素鋼・ステンレス鋼などの各種金属材料を使用した小形歯車の量産を行っております。さらに、鉛レス材専用の量産ラインを設け、鉛レス歯車の生産も可能です。小形歯車の量産をご検討中の方は、お気軽にご相談下さい。真鍮ギアとかみ合わせる樹脂歯車の試作、金型製作、試験・測定、量産にも対応しております。